先日、高知市からレンタカーで大月町にある「月光桜」を見に行ってきた。レンタカー会社の方に教えてもらったのがきっかけで、NHKの朝ドラ「らんまん」の主人公である植物学者・牧野富太郎博士が研究していたという。白い花を咲かせる山桜で「アシズリザクラ」という名前で新種として登録しようとしていたそうだ。
桜の季節には、テレビなどのメディアで、各地の有名な桜が取り上げられるが、ほとんどそういった桜に縁がなかったが、いちど名木・名桜というものに会いに行ってみようとでかけてみた。


高知市からは車で数時間。場所的には「高知市から四万十市を経て足摺岬の方にある大月市の大月町」に月光桜はある。ナビ通りに進んでいるはずなのに、町内に入ってからも何度か道を間違えるほど、少し分かりにくい場所にあった。観光地として紹介されているものの、実際に行ってみると、田んぼの脇のちょっとした山の法面にひっそりと佇んでいる。周囲には農家がわずかにあり、あたりには山あいにもうけられた田んぼがひろがっているばかり。

昼間に訪れた月光桜は、想像以上に立派な姿をしていた。ふしくれだった力強い幹は長い年月を感じさせたが、決して老木という印象ではなく、「壮年の名木」といった風情があった。道路から桜の少し手前まで車でアクセスし、そこから山をよじのぼることができる。桜の足元まで近寄れるようなウッドデッキの通路も設置されている。写真で見ると、桜の向こうに大月の山々が見えて、その尾根に連なる風力発電の風車がみえる。桜の名木と近代的な発電風車の対比が、現代的だった。
残念ながら、訪れた2025年3月22日は、桜まつりの初日だったが、まだ蕾のままでまったく開花には至っていなかった。

昼間は誰もおらず、本当にライトアップされるのだろうかと少し不安になりながら、一旦引き上げて、同じ大月町の柏島をめぐったりして、点灯予定を待った。点灯時間に桜のもとに再び向かったが、周囲には街灯もほとんどなく、月明かりがあるばかり。
桜の近くの路上で車に乗ったまま点灯の時間を迎えた。しかし、予定の時刻になっても明かりは灯らない。誰もいない。少しすると、白い軽トラックがけっこうなスピードでやってきて、桜の足元から少し離れた場所にある電源装置らしいものの側に来たものの、ほどなく、また去っていきました。何か機器の鍵でも忘れたのかも…。
15分くらい経って、再び軽トラックが戻ってきて、ようやくライトアップが始まりました!

まだ花は咲いていなくても、ライトに照らされた月光桜は、その姿をくっきりと浮かび上がらせ、妖艶な雰囲気を醸し出しています。開花していなくても、夜桜の風情を味わうことはできました。
気がつくと、他にも1台だけ、夜桜を見に来た車が。そこから二人連れがライトアップされた夜桜の足元までよじのぼっていた。自分は昼に登ったので、夜は登らずに帰ることに。
横浜からだとかなりの距離があり、交通費もかかる「月光桜」。いちおう、満足というか納得した。
ただ、将来の開花時期に再訪するのは、なかなか難しそう…。